梅干。
その真っ赤に熟したしわしわの実。
ピンポン玉程の大きなやつを、そっと一つ手に取る。
・・・自然とあふれ出す唾液。
長年漬けられていたのであろう。
もはや黒みがかってきている。
ボクはそれをパクっと口に運んでみた。
・・・思ったほど酸っぱくない。
というのも、まだ かじれないからだ。
そのわずかな酸っぱさは、ボクに噛んだ後の強烈な酸味を連想させ容易に噛む事を許さない。
しわしわの中に秘めた強烈な酸味。
それは噛んで初めて「ジュワァ〜」っと、口の中へと広がっていく。
そのジューシーで極めて真っ赤な酸の刺激を連想して、思わず口先を尖らせてしまった。
この噛む前の 湧き出る唾液を確かめる瞬間。
これもまた醍醐味!!
ボクはその醍醐味を味わった後、ようやく勇気をふり絞り「えいっ!」とばかりにかじってみた。
「イタタタターーーーー!」
悲鳴とともに目を覚ます、おばあちゃん。
片乳を直しながら、「40年ぶり…」と 少し はにかんだ。
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