04/20  読むだけでヨダレ・・・。


梅干。


その真っ赤に熟したしわしわの実。

ピンポン玉程の大きなやつを、そっと一つ手に取る。


・・・自然とあふれ出す唾液


長年漬けられていたのであろう。

もはや黒みがかってきている。

ボクはそれをパクっと口に運んでみた。


・・・思ったほど酸っぱくない。


というのも、まだ かじれないからだ。

そのわずかな酸っぱさは、ボクに噛んだ後の強烈な酸味を連想させ容易に噛む事を許さない


しわしわの中に秘めた強烈な酸味。

それは噛んで初めて「ジュワァ〜」っと、口の中へと広がっていく。


そのジューシーで極めて真っ赤な酸の刺激を連想して、思わず口先を尖らせてしまった。


この噛む前の 湧き出る唾液を確かめる瞬間。

これもまた醍醐味!!


ボクはその醍醐味を味わった後、ようやく勇気をふり絞り「えいっ!」とばかりにかじってみた。












「イタタタターーーーー!」




悲鳴とともに目を覚ます、おばあちゃん



片乳を直しながら、40年ぶり…」と 少し はにかんだ。







04/22  誇り


今からおよそ一世紀先の西暦3000年。

地球は核戦争や異常気象による危機を乗り越え、今とは想像もつかないような近代化を見せた。

しかしそうした中でも世界の各国は、自分達のアイデンティティーと誇りを失うことは決してなかった。



西暦3000年、アメリカでは自由の女神が空を飛ぶように改良された。

アメリカ人の誇りは、まさにその「自由な発想」。



西暦3000年、イギリスでは今尚「ビッグベン」や古城・宮殿・寺院などが健在した。

イギリス人の誇りは、まさにその「伝統と格式」。



西暦3000年、フランスは相変わらず世界をリードするファッションの国であった。

フランス人の誇りは、まさにその生まれ持った「センス」。



西暦3000年、日本では現実世界の中にゲームを移植するに到った。

日本人の誇りは、まさにその「頭脳」。





西暦3000年、中国では・・・・・・時間が経った



中国人の誇りは、多分その「中国5000年の歴史」。







04/25  題目「HOTEL」


波の音がかすかに聞こえる。
薄明かりが入るだけの、閉ざされた部屋。

そのホテルの一室で、男はブラインドの一つを指で下ろしながら、エメラルドグリーンに映える海原に目をやる。

長く続く砂浜の白さとのコントラストが妙に眩しい。

「ねぇ。」

「・・・・ん?」

溜息にも似た少女の呼ぶ声に言葉だけを返す。

「もぉ・・・。」

少女の不機嫌そうな声で、男はようやく振りかえる。

ベッドの上、両腕で足を抱えながらしゃがみ込んでいる少女は、肩までの髪を少しかきあげる。

足に押しつけられた乳房の膨らみと、くの字に曲がった緩やかな体のラインは、もう間違いなく女のそれである。


「・・・しないならいいよ。」

軽く口を尖らせながら、そう少女は呟く。

男は咥えていたタバコを灰皿に押し付ける。


「そういうわけじゃないさ。」

男はベッドの方へ歩いていくと、少女のおでこに軽くキスし、そして肩へ優しく手をやる。

「そういうわけじゃ・・・。」


「・・・知らないっ。」

少女は半ベソをかきそうな目で見つめ、男の胸へ顔を寄せる。

ようやく安心したのか、胸の中でそっと目を閉じる。


抱き合い、しばし動かぬ二人。


沈黙の時が流れる。


二人を映すシルエットがゆっくりと横たわっていく。


波の音だけがかすかに聞こえる。






・・・・・・






  ― 『とどろき第一幼稚園 学芸会』 ―







04/26  「窓から」


鉄格子でしっかりと閉ざされた部屋。

暗い・・・。

暗いなかに一人っきり。



窓はほとんど閉められたまま。


ただ空気の入れ替えの為か、

時々少しだけ開けてもらってはいる。




ある意味「監禁」。


正確に言えば「軟禁」と言った方がいいのか。

自由はほぼ失われてしまった。

俺に身の振り方の選択権は与えられていない。



もうどれくらい、

外の光を浴びて

そして思いっ切り背伸びをしてないだろう。





・・・。




こんな不満を上げていけば切りが無い。

むしろ、貯まる一方で虚しくなる。




思い起こせばあの頃は、

あまりにも無鉄砲であった。


若気の至りといえばそれまでだが。



すれ違う、

誰にでも突っかかっていった。



派手に立ち回り、

飛び掛かってくる相手に背を向けること無く

真正面から向かっていった。



しかしもう俺も・・・、

俺もここらで潮時か。




ここに居ても日が当たらないように、

光が見えて来ないように・・・。


未来を見据えようとしても、

もう希望が見えてこない。




だから今こうして過去を振り返る。



ひとり部屋に閉じこもり、

開かない窓を見上げながら、

己の所業を述懐する。




しかし俺だって・・・。


もう一度、

もう一度あの頃のように・・・俺ならば。


チャンスが欲しい。



そしたら俺も、

もう一度、

もう一度、一花咲かせたい。



立ち上がれる限り前を向いて、

そして真っ直ぐに進んでいきたい。






と突然、

眼の前の窓がゆっくりと開いていく。



その窓から差し込む瞬光に、

思わず目を細める。




ついに、

ついにその時が来たのか?




もしそうなら、

今度こそ・・・、

本当に今度こそは!!!







「社会の窓」は開かれる。





だが・・・、



また今夜も、俺を摘み出すのは、

男の人のごっつい手。




ああ・・・・・・嗚呼・・・。




次こそは・・・、

次こそは女の人の手で優しくつまみ出され、

そして膣の中で思いっきり

伸びをして果てたい。




ミユキや、サユリや、マドカらの中で・・・。