近年の格闘技界は「何でもあり」いわゆる「バーリ・トゥード」というものが一つの潮流であるが、そのなかでも抜群の強さで注目を集める流派が「グレイシー柔術」。
日本のある柔道家がブラジルに持ち込んだ「武術としての柔道」を、実戦向けの格闘技として昇華させた「ブラジリアン柔術」の総本山と言われている。
そして、そのグレイシー柔術の中に、現在世界最強と言われている男・・・在り。
ブラジルはリオ・デ・ジャネイロ出身。
身長178cm。
体重84kg。
42歳にして今尚バリバリの現役。
彼の名は
「ヒクソン・グレイシー」。
喧嘩も含めた色んな流派との戦いおよそ400戦以上。
その間20歳を過ぎてからは実に一度も負けていない。
実際「400戦」というのは定かではないが、「ヒクソンが負けた」という記録も「ヒクソンに勝った」と言う人間も存在しないのだ。
事実、日本でヒクソンが見せた幾度かの闘いは、まさに達人の風格をもって常に圧勝であり、「400戦無敗」の実力が偽りではないことを証明してみせた。
まさしく「世界最強」の称号は彼に一番相応しいと言っていいであろう。
40歳過ぎにして、ヒクソンの褐色の肉体は全く無駄が無く艶を保ち、漆黒の瞳は感情を押し殺したように相手を見据え、決して動かない。
その姿はあたかも野生動物のそれ。
向かい合っただけで相手を飲み込んでしまう雰囲気を醸し出す。
ヒクソンは事あるごとに自分のことを「侍」と言い、「剣士として自分の完全性を追求し『武士道』のもとに一生を生きた」日本のある武士を崇拝する。
そんなヒクソンは試合前には山に篭もり、自然と一体化しパワーを受け、己を研ぎ澄ます事によって理想的な状態に仕上げてくる。
だからこそヒクソンは、「何でもあり」の総合格闘技においても、己を見失わずに常に自分のペースで勝利を得ることができるに違いない。
(このテキストのストーリー及び登場人物の名前は、全てヒクソンです。)
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